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第2回日本司法作業療法学会が開催されました。

作業療法学専攻
去る11月30日12月1日に本学の1号館地下の大講義室を会場に第2回日本司法作業療法学会が開催されました。
司法領域の作業療法は、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(医療観察法)が2005年に施行されたことにより、心神喪失又は心神耗弱の状態で、重大な行為を行った人に適切な医療を提供し、社会復帰を促進する制度に伴い、精神障害領域の作業療法士たちが携わってきました。近年は、受刑者の高齢化や少年院などにおける知的障害や発達障害と診断され処遇上配慮の必要な少年が増加するなどのニーズが高まり、少年院や刑務所でも作業療法が取り入れられるようになってきています。
 今回、長年精神障害領域での作業療法に携わり、刑務所での実践経験もある作業療法学専攻長の香山教授が、大会長となって開催されました。

(大会長挨拶)

 大会は、土曜日の午後から日曜日の夕方までの2日間で開催されました。香山教授の学会長企画シンポジウムでは、「司法領域における作業療法教育を考える」のテーマの下、本専攻で取り組んでいる全国でも初めての宮城刑務所を実習地とした地域作業療法学実習の紹介と、実習先である宮城刑務所の主席矯正処遇官である磯田氏による刑務所での作業療法実習のプログラムや実施上の工夫などの報告がなされました。全国初の取り組みということから、会場から多数の質問がなされ、本学の取り組みが全国に広がっていくような気配が感じられました。

(質疑応答の様子)

 その他、司法領域での作業療法入門総論と題した刑務所における作業療法の取り組みの紹介や出口支援に携わる実践報告として相談機関に関わって社会復帰を支援する取り組みや、医療観察法の作業療法報告、更生保護、矯正施設での実践報告など司法領域といっても多様な活動の実践報告がなされていました。早稲田大学の小西教授のゼミの学生達が取り組んだ精神障害を有する受刑者の地域への社会復帰をテーマとした全国の刑務所を対象とした調査研究の紹介、その他の一般演題など盛りだくさんの内容で行われました。

(司法作業療法入門セッション)

 さらに学会企画として、宮城刑務所の見学ツアーも企画され、普段は見ることのできない刑務所の内部を見学させていただく機会も設けられました。宮城刑務所は、伊達政宗公が築いた若林城の敷地を使っており、文禄の役で出兵した伊達政宗公が、朝鮮から持ち帰ったと伝えられ普段は見ることのできない臥龍梅や、土井晩翠が名づけた推定樹齢330年のクロマツ、「蟠龍(ばんりゅう)松」なども見せていただきました。

(宮城刑務所前にて)

 参加者は、全国各地で、病院の作業療法を実践されている方や地域にある刑務所で実践されている方など様々でした。それらの方々に交じって本専攻2年生も授業の一環として参加させていただきました。

(作業療法学生の参加)

 来年度からは、刑法が改正され、各受刑者の特性に応じ、その改善更生及び再犯防止を図るために、より柔軟な処遇の実施を可能とする拘禁刑が施行されます。それにより、司法の領域では現在よりさらに作業療法が求められるようになると思われました。(参考:法務省:矯正処遇等の在り方に関する検討会)
 次の日本司法作業療法学会は四国高知で開催される予定です。