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総合政策学部 総合政策学科

今度は嘱託警察犬に挑戦

2018.05.24
総合政策学部教授 岡 惠介

警察犬とはどんな制度なのか、ご存知だろうか。警視庁のように、庁内直轄で警察犬を育成しているところもあるが、多くの県警では自前の警察犬は持たず、民間で育成した中から試験に合格した犬を、嘱託警察犬として採用している。そして捜索の必要がある場合に、合格した嘱託警察犬とその指導手(その犬の訓練士や飼い主)に出動を要請し、捜索に用いる。警察からは、捜索の際の移動のガソリン代程度のお金が支給されている。ふだん家庭で飼われている犬が、必要な時だけ出動して警察の捜索に協力する、いわばボランティア活動である。

ところで、いわゆる警察犬と災害救助犬の果たす役割は、対象は逃走した容疑者であったり、行方不明者であったり様々だが、人を探すという意味では似ている。警察犬は、行方不明者を探すのにも用いられる。ではこの両者の違いはどこにあるのだろうか。

一般的な警察犬は、原臭と呼ばれる捜索対象者の臭いを覚え、その臭いを手がかりに探す試験で選抜される。原臭は捜索対象者の所持品や衣類の臭いだったり、足跡に残る臭いであったりする。だから川などを渡って臭いが途切れたり、そもそも原臭がない場合には、捜索ができない。犯罪捜査で言えば、足跡や遺留品が見つからないとか、行方不明者がどこの誰だかわからない、といったケースがこれにあたる。

これに対して、災害救助犬は原臭を必要とせず、捜索エリア内で生きている人の臭いを探し、見つけた人が蹲(うずくま)っていたり、倒れている場合には、その場で連続して吠えて、ここに行方不明者がいるとアラートする。エリア内にいても、元気そうな人は無視するように訓練されている。

普通の警察犬は原臭というピンポイントのターゲットを探すのだが、災害救助犬は指定された捜索エリアという面を探すと言えるだろう。

ところがここからいささか話はややこしくなるのだが、警察でもこれまで述べてきたような原臭で探す犬のほかに、災害救助犬も警察犬として委嘱するところもある。岩手県でも、嘱託警察犬の試験の中に捜索の部がある。この部門では、捜索エリアを原臭なしで捜索する、実質的に災害救助犬に行うのと同様の試験で合格すると嘱託警察犬に採用されている。

というわけで紛らわしいのだが、先に警察犬と災害救助犬とは違うと述べたのにもかかわらず、県警によっては警察犬の中に災害救助犬もいるのである。

とにかく災害救助犬になったルカは、岩手県警の嘱託警察犬の試験にも挑戦し、合格して晴れて嘱託警察犬にもなることができたのだった。