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教員News(No.25)

作業療法学専攻
臨床の現場で考えていること(首藤 和弘)

 私は数年前から回復期病棟のリハビリテーションのなかで、患者さんを前に一生懸命対応しておられる作業療法士の姿を見せていただいています。
そのような中で最近思うことは 、作業療法士が大腿骨頸部骨折や、変形性膝関節症、脊椎の圧迫骨折などの整形疾患や廃用性症候群に積極的にかかわる機会が多くなっているという現実です。
おのずとこれらの患者さんの目標の大きな割合を占めるのは寝返る、起き上がる、立ち上がる、移動するなどの基本的な動作の獲得ということになってきます。
そのような基本的な部分を指導しているのは主として理学療法士の役割であると思っています。それでは作業療法士はその職種として何ができるのか?

30年ほど前、私がまだ作業療法士として2~3年の経験のころに作業療法士協会では「作業療法の核」を問うというテーマで作業療法にしかできない専門性は何か?ということを真剣に議論していたことが思い出されます。
今、関わらせていただいている臨床をみていて思っているのが「実際の今の現場でこれらの患者さんがその後の生活を有意義に過ごしてもらうために作業療法士は何をしなければならないか」ということです。

作業療法士が責任を持って関わらなければいけないものは、当たり前のことですが日常生活をしていく能力(ADL?IADL)を獲得していただくことであると思っています。

しかも「本当に退院後の患者さんがこれから生活していく環境で、そこに合わせた生活をしていく準備をしてもらう」ということであると思います。
上記のような患者さんは歩行を移動手段として家庭復帰されることが多いのですが、そのような方にしても、生活の中では和室をベースとした、座る、床上で臀部を移動させる、立ち上り歩くなどの具体的な動作、横方向や縦方向の障害物を意識した体の使い方、狭いところでの体の使い方、庭の草取りや掃除に必要な動作等考えられる動作はまだまだあると思います。

家庭で元通りの生活を送るためにはこれらの動作にも目をむけて、可能な限り関わっていくことが必要なのではないかと考え、病院の作業療法士の皆さんと一緒に取り組んでいこうと思っています。