近年、ジェンダーや同性婚、婚外子の相続、国籍選択といったマイノリティの他、ヤングケアラーの問題が盛んに議論されています。
「家族の介護や世話に追われる子どもたちは社会の主流から外れ、社会的包摂されていない状態です。社会的に排除されているのだから、救済しなければならない。では、救い方としてどのような方法があるのかを考え、見つけなければなりません」。淡路先生は、その選択肢を法的な観点から増やすことができれば、と話します。
憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ことを示した生存権です。具体化するために生活保護法や児童福祉法、身体障害者福祉法等の社会保障制度が設けられています。しかし、この生存権には様々な解釈が主張されてきました。
「一つは『プログラム規定説』という考え方があります。これは、国に努力を要求しているだけで、国民が国に対して具体的措置を講ずるよう請求できる権利ではありません。対して『抽象的権利説』は、法律があれば裁判で訴えを起こすことができるという考え方です。また『具体的権利説』という考え方もあり、法律がなくても憲法25条に基づいて訴訟提起できるというものです。しかし、判例では具体的権利説は採用されていません」。
淡路先生が最近執筆したものに『障害のある人が出会う人権問題』(共編著、成文堂2023年刊)、『人権と社会的排除』(共著、成文堂2021年刊)などがある。