「そこで保育士さんが『あれ、おかしいな。大丈夫かな?お子さんの様子が最近ちょっと落ち着かなくなってきているな?』『お母さんがイライラしているけど大丈夫かな?』など、何気ないことに気づくことが多いんです。話をしたり、様子を観察することはできますが、保育士は虐待対応のプロではないので対応に悩むことも少なくありません。でもその時に適切に対応しないと深刻な問題に発展する事態になってしまうこともあるんです。そこで私は保育士と一緒に、そんな時、どう対処したらいいのかを研究しています」。
まず大事なのは「気づく力」。厚生労働省で提示している虐待のハイリスク要因としては、親の精神疾患や若年層の妊娠、地域からの孤立とか夫婦間不和、経済的困難などがありますが、そういったものをあらかじめ知っておくことで、子どもやお母さん、お父さんの変化に気づき、介入することができます。鑑先生は、そうした視点を伝え、「そうなった場合、どうしたらいいのか」やコミュニケーションが取りにくいと感じる保護者への心構え、対応のヒントも伝えていくのだそうです。
保育士という専門的な視点を持ちながらも、「親なのに」という否定的見方をするのではなく、「困っているのであればどのように関わっていけば良いか?」というふうに視点や捉え方を変える必要もあります。児童相談所や市町村、その他の専門機関につなぎ連携することで解決できることもあるので、家族の抱える問題に気がつき、保育所だけで抱え込まず、気がついた時には他のところにつなげていけることも大切です。
「あれ、おかしいな?」と気づくことと保護者の背景を理解することが大事。