社会学?福祉学研究

社会学?福祉学研究からのアプローチ

気になる親子に対する支援と保育ソーシャルワーク

鑑さやか 准教授
現代社会学科 社会福祉学専攻
鑑さやか 准教授
現代社会において、保育所は働きながら子育てを行う親にとって欠かすことのできない児童福祉施設です。児童虐待の発生件数が増加し続けている現代社会では、働きながら子育てをしている家庭の子どもだけでなく、地域で子育てをしている親の相談窓口としての役割も行うこととされており、幅広い子育て家庭に対する支援が期待されています。一方で、時代の変化とともに保育所に求められるものが変容し、保護者への支援を行う中で困難感をかかえている保育士も少なくありません。

一人ひとりの子どもがのびのびと自分らしく健やかに成長するために、子どもの育ちだけでなく、親としての「親育ち」を支援するために必要な保育ソーシャルワークについて保育士と共同し研究を行っています。

なぜこの研究を始めたのですか?

大学生の時に児童養護施設の子どもたちに出会いました。子どもたちと触れ合いながら、児童精神医学のゼミで、子どもの問題の背景には家族や家族を取り巻く環境が大きく関わっていることを学んだことがきっかけです。

社会との関わりは??

保育所保育士を中心とした保育者や、子ども、子育て中の保護者と関わります。

社会の中でどんな応用の可能性がありますか?

子どもを取り巻く環境が大きく変化している現代社会において、子育て家庭の抱える問題も十人十色です。保育現場では、日々困難を抱える親子の発見や支援が展開されていますが、保育技術だけでは家族の抱える問題に対応することは困難です。ソーシャルワーカーは、生活に不安を抱えている人や、社会的に疎外されている人などとの関係を構築し、相談者本人だけではなく、課題の背景や周囲にある家族、友人、その他の関連機関や環境にも働きかけることで、問題の解決の支援を行います。保育ソーシャルワークが保育現場で活用されることにより、さまざまな問題を抱えている親子を一緒(一体的)に受け止め、見守りながら、日常の保育実践の中で援助していくことにより、子ども一人ひとりが安心?安全?自由に成長する環境を整えることができます。

これから学ぼうとする人たちに向けて、研究領域の魅力を伝えるメッセージをお願いします。

多くの子どもたちの生活の場は家庭です。子どもにとって家族との経験は全ての始まりであり、養育環境は子どもの成長に大きな影響を及ぼします。子どもたち一人ひとりが安心して成長する環境を整えるためにはどのような支援や仕組みが必要か、一緒に考えましょう!